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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について (2020年2月26日版)

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Last Update:2020年2月26日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について (2020年2月26日版)

一般社団法人日本救急医学会  代表理事 嶋津岳士
同 救急外来部門における感染対策検討委員会  委員長 佐々木淳一

日本救急医学会会員の皆様へ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応で,多くの方々が尽力されていることと拝察いたします.当初は確認されていなかった「人から人への感染」が起こることも確認され,全世界で感染確定例が81,000名,死亡例が2700名を超えており,その増加の勢いは衰えていません.国内では,26日の時点で横浜港において検疫中のクルーズ船発生例を除いて診断確定例170名となっており,小規模クラスターの発生も懸念されています. 刻々と状況が変化する中,新型コロナウイルス感染症の「臨床的特徴」や「感染が疑われる患者の要件」について,厚生労働省発出の文書などで適時アップデートが行われています.本ウイルス感染症の特徴として,その感染性とともに肺炎を合併する頻度の高さが明らかになってきまており,致死率は依然としてSARSより低いものの,高齢者・基礎疾患保有者における肺炎の合併は生命を脅かす重篤な状態につながる可能性を高めるといえます.
 日本感染症学会と日本環境感染学会は2月21日,両学会のウェブサイトで「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)─水際対策から感染蔓延期に向けて─」を公開しました.これは,2月15日以降に感染経路が特定できない感染事例が相次いで報告されていることを受け,感染蔓延期における感染対策のポイントをまとめたものとなります.昨年12月の中国での流行開始以降,国内ではいわゆる「水際対策」に重点が置かれてきましたが,中国の流行地や感染者との接点が明らかでない感染例が全国各地で増加していることから,両学会は指針の中で「地域単位で感染対策のフェーズを水際対策期から感染蔓延期へ移行させていく必要がある」ことを強調しています.今後は,「重症例に焦点を当てた治療の実施が重要」との見解も示し,政府も感染拡大に備えた基本方針を決定し,「感染が拡大した地域の医療機関は重症者に特化して治療を施す」ことを示しています.
 日本感染症学会と日本環境感染学会は,「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)―水際対策から感染蔓延期に向けて―(2020年2月21日現在)」を発表しています.その骨子は,以下の6つです.

    診療にあたられる方々へ

  1. 軽症例はインフルエンザ外来に準じた対応を行います
  2. 重症例を見逃さない診療が求められます
  3. 遺伝子検査は,“入院が必要な肺炎例でウイルス性肺炎を疑う場合”に実施します
  4. 特異的な治療はありません
  5. 感染対策のポイント

  6. 感染対策の基本は飛沫・接触予防対策になります
  7. 陰圧個室での管理は地域・施設に応じて対応して下さい
 COVID-19 の感染が拡大しつつありますが,地域の対応において救急医の果たす役割は重要です.今後,救急医が様々な病院での重症者の治療に関わる機会が増えてくると思います.新型コロナウイルス対策の一環として,日本救急医学会はECMOを中心とした重症管理の助言を行う電話相談窓口(日本COVID19対策ECMOnet)を開設しています.さらに,救命救急センター,救急科専門医指定施設に,重症患者に関する集中治療学会とのデータベース入力へのご協力を呼びかけていますので,よろしくお願い申し上げます.

 さいごに繰り返しとなりますが,救急医療に従事する医療関係者として,日常的にスタンダードプリコーションを徹底し,社会人としては「手指衛生と咳エチケット」,患者からの感染を防ぐためには「特に診断がついていない呼吸器感染症に対して手指衛生とマスク着用」に努めて下さい.自分自身を守ることが,患者,同僚,自身の家族,病院・組織を守ることにつながります.
信頼性の高い新型コロナウイルス関連サイトへのリンクを以下に紹介致しますので,ご参照下さい.

新型コロナウイルス関連サイト

<国内の行政対応,発生状況,ガイドラインなど>

1.厚生労働省

新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

2.国立感染症研究所

新型コロナウイルス(2019-nCoV)関連情報ページ
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html

3.国立研究開発法人国立国際医療研究センター

NCGM COVID-19入院患者の背景・症状・診断・治療の概要
新型コロナウイルス感染症流行時における患者・家族・職員への倫理的配慮
http://dcc.ncgm.go.jp/

4.厚生労働省検疫所 FORTH

海外感染症発生状況
https://www.forth.go.jp/topics/fragment1.html

5.日本環境感染学会

新型コロナウイルス(2019−nCoV)感染症への対応について
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=328

6.日本感染症学会

新型コロナウイルス感染症
http://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31

<海外の関連情報サイト>

1.世界保健機関(WHO)(英語)

Novel coronavirus (2019-nCoV)
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019

2.米国疾病予防管理センター(CDC)(英語)

2019 Novel Coronavirus
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-nCoV/index.html

3.欧州疾病予防管理センター(ECDC)(英語)

Novel coronavirus
https://www.ecdc.europa.eu/en/novel-coronavirus-china

4.香港衛生部健康予防センター(英語)

Severe Respiratory Disease associated with a Novel Infectious Agent
https://www.chp.gov.hk/en/features/102465.html

5.Johns Hopkins大学(英語)

新型コロナウイルスリアルタイム発生状況
https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

6.Cochrane Library(英語)

Coronavirus (COVID-19): evidence relevant to critical care
https://www.cochranelibrary.com/collections/doi/SC000039/full

7.コクランジャパン

【緊急特集】コロナウイルス (2019-nCoV) :重症管理に役立つコクランエビデンス
https://japan.cochrane.org/ja/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/%E3%80%90%E7%B7%8A%E6%80%A5%E7%89%B9%E9%9B%86%E3%80%91%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9-2019-ncov-%EF%BC%9A%E9%87%8D%E7%97%87%E7%AE%A1%E7%90%86%E3%81%AB%E5%BD%B9%E7%AB%8B%E3%81%A4%E3%82%B3%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%83%93%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B9

<一般の方向け>

1.内閣官房

新型コロナウイルス感染症の対応について
http://www.cas.go.jp/jp/influenza/novel_coronavirus.html

2.厚生労働省

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

3.レジリエンスジャパン推進協議会

〈国民向け緊急提言〉 新型肺炎対策「STOP感染症・7つの約束」
http://www.resilience-jp.biz/20200212122353/

4.東京都福祉保健局

医療機関受診のための多言語ガイドブック
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/tagengoguide.html