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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について (2020年3月9日版)

Last Update:2020年3月9日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について (2020年3月9日版)

一般社団法人日本救急医学会  代表理事 嶋津岳士
同 救急外来部門における感染対策検討委員会  委員長 佐々木淳一

日本救急医学会会員の皆様へ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応で,多くの方々が尽力されていることと拝察いたします.当初は確認されていなかった「人から人への感染」が起こることも確認され,全世界で感染確定例が107,000名,死亡例が3,600名を超えており,その増加の勢いは衰えていません.国内では,3月8日の時点で横浜港において検疫中のクルーズ船発生例を除いて診断確定例461名となっており,クラスターの発生も確認されています.刻々と状況が変化する中,新型コロナウイルス感染症の「臨床的特徴」や「感染が疑われる患者の要件」について,厚生労働省発出の文書などで適時アップデートが行われています.本ウイルス感染症の特徴として,その感染性(伝播性)の高さとともに肺炎を合併する頻度の高さが明らかになってきまており,致死率はSARSやMARSより低いものの,インフルエンザよりは高く,高齢者・基礎疾患保有者における肺炎の合併は生命を脅かす重篤な状態につながる可能性を高めると考えられています.また,軽症例が80%前後であることが報告されていますが,感染をしても無症状である無症候性キャリアの数がどのくらい存在するのかが明らかになっていないことが大きな問題となっています.
 日本感染症学会と日本環境感染学会は2月28日,両学会のウェブサイトで「新型コロナウイルス感染症の現状と対策 水際対策から感染蔓延期に移行するときの注意点」を公開しています.その中で,感染対策の要点は以下のように示されています.

    感染対策のポイント

  1. 感染対策の基本は標準要望策の徹底に加え,飛沫・接触予防対策である
  2. 咳などの症状がない人との濃厚接触(手の届く範囲で一定時間)でも感染が伝播することの可能性が示唆されている
  3. 通常のインフルエンザよりは感染性が高いと考え,状況に応じて(咳やくしゃみなどを訴える患者の診察や閉鎖環境など)N95マスク,ゴーグルの使用を考える必要がある
  4. 消毒用アルコールが有効なため,手指衛生,環境消毒を徹底して行う
  5. 涙や眼分泌物にもウイルスが含まれている可能性がある
  6. 新型コロナウイルスは糞便中にも排出されることが明らかになっており,トイレ排水後の汚染した水のエアロゾル化に対しても注意する必要がある
  7. 待合室,診察室の換気に留意する
 COVID-19 の感染が拡大しつつありますが,地域の対応において救急医の果たす役割は重要です.今後,救急医が様々な病院での重症者の治療に関わる機会が増えてくると思います.新型コロナウイルス対策の一環として,日本救急医学会はECMOを中心とした重症管理の助言を行う電話相談窓口(日本COVID19対策ECMOnet)を開設しています.「COVID-19の臨床的特徴〜日本COVID-19対策ECMOnet対応症例のまとめ〜(3月5日)」も公開されておりますので,ご参照下さい.

 さいごに繰り返しとなりますが,救急医療に従事する医療関係者として,日常的にスタンダードプリコーションを徹底し,社会人としては「手指衛生と咳エチケット」,患者からの感染を防ぐためには「特に診断がついていない呼吸器感染症に対して手指衛生とマスク着用」に努めて下さい.自分自身を守ることが,患者,同僚,自身の家族,病院・組織を守ることにつながります.
信頼性の高い新型コロナウイルス関連サイトへのリンクを以下に紹介致しますので,ご参照下さい.

新型コロナウイルス関連サイト

<国内の行政対応,発生状況,ガイドラインなど>

1.厚生労働省

新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

2.国立感染症研究所

新型コロナウイルス(2019-nCoV)関連情報ページ
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html

3.国立研究開発法人国立国際医療研究センター

NCGM COVID-19入院患者の背景・症状・診断・治療の概要
新型コロナウイルス感染症流行時における患者・家族・職員への倫理的配慮
http://dcc.ncgm.go.jp/

4.厚生労働省検疫所 FORTH

海外感染症発生状況
https://www.forth.go.jp/topics/fragment1.html

5.日本環境感染学会

新型コロナウイルス(2019−nCoV)感染症への対応について
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=328

6.日本感染症学会

新型コロナウイルス感染症
http://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31

7.日本呼吸器内視鏡学会

COVID-19及び疑い症例に対する気管支鏡検査における注意喚起 第2報(2020年3月2日)
http://www.jsre.org/info/2003_covid19_2.pdf

<海外の関連情報サイト>

1.世界保健機関(WHO)(英語)

Novel coronavirus (2019-nCoV)
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019

2.米国疾病予防管理センター(CDC)(英語)

2019 Novel Coronavirus
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-nCoV/index.html

3.欧州疾病予防管理センター(ECDC)(英語)

Novel coronavirus
https://www.ecdc.europa.eu/en/novel-coronavirus-china

4.香港衛生部健康予防センター(英語)

Severe Respiratory Disease associated with a Novel Infectious Agent
https://www.chp.gov.hk/en/features/102465.html

5.Johns Hopkins大学(英語)

新型コロナウイルスリアルタイム発生状況
https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

6.Cochrane Library(英語)

Coronavirus (COVID-19): evidence relevant to critical care
https://www.cochranelibrary.com/collections/doi/SC000039/full

7.コクランジャパン

【緊急特集】コロナウイルス (2019-nCoV) :重症管理に役立つコクランエビデンス
https://japan.cochrane.org/ja/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/%E3%80%90%E7%B7%8A%E6%80%A5%E7%89%B9%E9%9B%86%E3%80%91%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9-2019-ncov-%EF%BC%9A%E9%87%8D%E7%97%87%E7%AE%A1%E7%90%86%E3%81%AB%E5%BD%B9%E7%AB%8B%E3%81%A4%E3%82%B3%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%83%93%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B9

<一般の方向け>

1.内閣官房

新型コロナウイルス感染症の対応について
http://www.cas.go.jp/jp/influenza/novel_coronavirus.html

2.厚生労働省

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

3.レジリエンスジャパン推進協議会

〈国民向け緊急提言〉 新型肺炎対策「STOP感染症・7つの約束」
http://www.resilience-jp.biz/20200212122353/

4.東京都福祉保健局

医療機関受診のための多言語ガイドブック
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/tagengoguide.html