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Heatstroke STUDY とHypothermia studyデータ使用許諾の指針

2022年4月12日
熱中症及び低体温症に関する委員会
委員長 横堀將司

 日本救急医学会では学会員の皆様のご協力を得て、2006年より熱中症及び低体温症の疫学調査(Heatstroke STUDY とHypothermia study)を行っております。また、これらデータを利用した学術研究の成果をAcute Medicine & Surgeryなどの英文誌や日本救急医学会雑誌を通して発信しています。
Heatstroke STUDY とHypothermia studyの研究計画書には、「日本救急医学会の規定に基づき、承認を得られた機関において解析を行い、発生予防を含めた対策について検討を行う。」と記載しています。
今般、下記の如く「Heatstroke STUDY とHypothermia studyデータ使用許諾」の指針を明示しますので、本研究に参加いただいた施設の皆さんにも、「承認を得られた機関」として、熱中症及び低体温症に関するエビデンスの発信をお願いする次第です。

【対象】

 Heatstroke STUDY とHypothermia studyの参加施設に所属する学会員にデータを提供します。実際のデータ収集作業に従事した学会員は、該当施設から異動した場合でも対象とします。また、委員会の判断により、公衆衛生上有用な公的機関にもデータを提供します。

【申請手続き】

 データ提供を希望する場合は、日本救急医学会事務局(office-jaam@umin.ac.jp)に、A4用紙1枚程度の研究計画書(様式自由)を提出してください。他の申請済みの研究との重複がないことを確認し、委員会よりデータ利用を承認します。
なお、研究内容の倫理的事項に関する審議は行いませんので、データ提供施設は「承認を得られた機関」として、各施設の倫理委員会の審議を受ける必要があります。

【提供されるデータ】

 疫学調査を統括した主論文が発表済である参加年度の調査のデータを提供します。特例として、3回(通算3年)以上の参加施設には、最終参加年度以前の全てのデータを提供します。例えば、2020年度が直近の参加年度(2021年度は不参加)の場合は、2020年度以前のデータを提供します。

【オーサーシップと資金源、引用論文】

 使用する年度の担当理事、委員長、コーディネーター(各年度の報告論文の筆頭著者)を共著者に加えるとともに、Heatstroke STUDY とHypothermia studyの委員会での調査活動に関する資金源を明示してください。なお、各施設においても、医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)が定める医学論文執筆時のオーサーシップの基準を順守してください。
また、Acute Medicine & Surgeryで発表された報告論文を引用してください。
各年度の共著者、資金源、引用論文の情報は、データ提供時にお伝えします。

【報告と告知】

 研究成果が英文論文で発表された際には、日本救急医学会ホームページ「熱中症・低体温症に関する研究・報告について」に掲載します。また、学会発表など英文論文以外の形式でデータ利用の成果を発表する際は、日本救急医学会事務局までご報告ください。

【Q&A】

Q:本研究にデータを提供した場合、group authorshipが将来的に賦与されることは検討されているでしょうか。

A:熱中症レジストリをもとにした論文においては、従前、データを登録いただいたのみの参加者は(Group) authorshipを付与しない形としています。すなわち研究立案から、データ収集項目の決定、準備、解析、論文作成から投稿に至るまでの一連の過程に目を通し貢献したものを“Author”とします。上記以外は、Acknowledgementにnon-author contributor もしくはCollaboratorとして、参加施設と担当者名を掲載します。これについては、各施設での研究論文作成時にリストをお渡しします。

 ”authorship”は、ICMJE既定の如く、研究過程を説明する責任を負う立場にある者と理解しています。例年、150を超える全国の施設がデータ登録機関として症例登録に協力いただいておりますが、本研究のようなNationwide registryにおいては全施設が研究立案から関与することは難しく、最初からデータ収集項目などの計画決定・研究立案からは関わっておりません。データ収集のみではAuthorになり得ない所以です。
しかし、データ登録協力施設のインセンティブとして、一定の条件下においてデータへのアクセス権を付与しております。この権利の元、自由にデータを使用していただいて研究を行っていただければと思います。
 ただし、その際も、熱中症委員会の担当理事、委員長、コーディネーターの関与を必要とします。本レジストリは厚労科研などの公的研究費を用いております。例年、担当理事、委員長、コーディネーターが中心となり、この研究費を取得すべく申請を継続しています。ゆえに担当理事、委員長、コーディネーターは本レジストリの研究過程を説明する責任があるものと考えています。

 上記をご勘案いただき、ご賛同いただけるようでしたら、ぜひ本レジストリ事業にご参画をいただきたく思います。また、本研究のコアメンバーとして、研究立案からレジストリ事業に深く関与いただける場合もウエルカムです。ぜひご連絡ください。