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お知らせ

日本救急医学会主導研究 R-CAST OHCA study参加のお願い

日本救急医学会の学会主導研究である「中等度障害の心停止後症候群に対する低体温療法と常温療法の30日神経学的予後に関する比較:多施設無作為化比較試験(R-CAST OHCA study)」をスタートさせることになりました。 学会員の皆様には取り組みの趣旨にご理解を賜り、多数の施設からご参加頂きたいと考えております。 ご検討のほどよろしくお願い致します。

●概要

1.研究概要

 遷延する神経障害を呈する心停止後症候群の予後は不良であり,いまだその治療法は確立されていない。脳温を低下させる体温管理療法が,神経障害のある心停止後症候群の急性期の唯一の治療法ともいえるが,臨床現場では様々な温度での管理がされている。現在も体温管理療法のうち低い温度で管理する低体温療法の効果に関しては議論があり,発熱を避けて常温で管理する常温療法でも十分な効果があるという議論もある。

 一方で,体温管理療法の温度の範囲のうち,より低い温度が重症の神経障害に効果を発揮する可能性が後方視的研究で示唆された。さらに,低体温療法は中等度〜重度の神経障害を呈する群に効果が高い可能性が示唆された。現在までに,低体温の効果の高いと推測される重症度(中等症)の患者を選択した上での低体温療法と常温療法の神経学的予後の比較(無作為化比較試験:RCT)は実施されていない。

 本研究は,院外心停止による心停止後症候群で意識障害を呈する患者のうち,もっとも効果の高いと推測される重症度(中等度)の患者選択を行い,低体温療法(34℃)と常温療法(36.5-37.7℃)を行い,30日神経学的予後の違いを検証する多施設によるRCTである。重症度による選択を行った上で,より低い温度管理が神経障害に効果を発揮するかという問題に解決を見出し,心停止後症候群管理ガイドライン作成の根拠になるべくデータを得ることが目的である。

参加施設の募集(日本救急医学会主導研究)

重症度の確認,患者の組み込み(中等度)
(低体温療法[34℃]と常温療法[36.5-37.7℃]の群に分け,無作為に組み込み)

通常診療の範疇で体温管理療法:低体温療法 と 常温療法を行う

WEBを通じて匿名化した情報を収集,集計,解析

30日神経学的予後の違いを検証

対象患者: 18歳から79歳までの院外心停止患者で自己心拍が再開した患者でrCASTにより中等度と判定された患者
侵襲の内容: 対象患者を無作為化割付し,体温管理療法の温度を34℃で行う(低体温療法群)と36.5-37.7℃で行う(常温療法群)の2群に振り分ける
主要評価項目: 第30病日における神経学的予後
(グラスゴー・ピッツバーグ脳機能身体機能カテゴリー:CPCによる分類)
副次評価項目: 第90日病日のCPC,第30・90病日の生存・死亡

2.研究実施施設

日本救急医学会 「R-CAST OHCA studyグループ」

3.研究期間

2022年4月1日〜2025年3月31日

4.研究成果の公表

本研究で得られた結果は、日本救急医学会の学会主導研究(JAAM R-CAST OHCA study)として国内および国外の学会で発表し、学術誌に論文として世界に公表する。

5.研究責任者

【研究責任者】

内藤 宏道  岡山大学病院 救命救急科 職名:准教授

【研究分担者】

錦見 満暁  広島大学病院 救急集中治療科
岡田 遥平  京都大学大学院医学研究科 初期診療・救急医学分野
前山 博輝  津山中央病院 救急集中治療科
木口 雄之  大阪急性期総合医療センター  救急診療科
頼藤 貴志  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 疫学・衛生学分野
黒田 泰弘  香川大学 医学部・医学系研究科 救急災害医学
西山 慶   新潟大学大学院医歯学総合研究科 救命救急医学分野
石見 拓   京都大学 環境安全保健機構
健康管理部門/附属健康科学センター(予防医療学分野)
中尾 篤典  岡山大学病院 救命救急科

(解析担当)

西田 一貴  名古屋大学医学部附属病院先端医療・臨床研究支援センター
松井 茂之  名古屋大学大学院医学系研究科生物統計学分野

6.連絡先

岡山大学学術研究院医歯薬学域,救命救急・災害医療学講座
准教授:内藤 宏道  秘書:升田 薫
連絡先:岡山市北区鹿田町2-5-1   電話番号:086-235-7427
E-mailアドレス:naito-hiromichi@s.okayama-u.ac.jp