日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

心筋マーカー

心筋マーカーには,心筋壊死・障害マーカー,心筋ストレスマーカー,プラーク不安定化マーカー,炎症マーカーなどがある。なかでも心筋壊死・障害マーカーは急性冠症候群の早期診断に臨床上有用である。CK-MB:CK(クレアチニンキナーゼ)はMM(88‐96%),MB(1‐4%),BB(1%以下)の3分画からなる。血清CK-MB値は心筋梗塞発症から4‐6時間で上昇し,12‐24時間にピークを描き,2‐3日後に正常化する。トロポニンとともに急性心筋梗塞症の第一選択マーカーとされている。H-FABP(心臓型脂肪酸結合蛋白):心筋細胞質に存在する小分子蛋白であり,心筋障害を受けると鋭敏な流出動態を呈する。迅速定性キットが市販されており,心筋梗塞発症2‐4時間以内の超急性期マーカーとして有用である。トロポニンT(TnT):心筋細胞の筋原繊維構造蛋白で,筋原繊維の分解により血中に遊出する。血中TnT値は心筋梗塞発症3‐4時間で上昇し12‐18時間で最大値を示す。簡便な迅速判定キットが広く用いられている。TnTはCK-MBに比べて心筋特異性は高いが,H-FABPと同様に腎機能低下例などで偽陽性を呈する。トロポニンI(TnI)もトロポニンのサブユニットの一つであり,TnTと同様の流出動態を示す。

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