日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

無気肺

気道の圧迫(compressive atelectasis),閉塞(obstructive absorption atelectasis)などによって含気量の減少により肺容量が減少した状態。右中葉気管支は細く入口部周辺のリンパ節腫大や内腔の分泌物によって無気肺をおこしやすい(中葉症候群)。長期臥床患者,とくに人工呼吸患者は背側肺に無気肺を生じる。ガス交換能が低下し,シャント効果による低酸素血症をきたす。無気肺組織では毛細血管からの血漿の漏出がおこり,間質の浮腫を生じ肺胞上皮が脱落する。CT検査は胸部X線撮影よりも診断精度が高い。腹臥位管理などの体位ドレナージや気管支鏡を用いた気道トイレッティングをおこなう。胸部X線撮影上,中・下肺野に認められる特殊な形態として板状無気肺(discoid atelectasis)があり,約2〜3cmの長さで,1〜3mmの厚さの線状陰影として認められる。横隔膜の動きが制限される腹部疾患,とくに炎症(膵炎,胆のう炎,横隔膜下膿瘍など)や腹部手術後などに生じることが多い。

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