日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

心室瘤

心室壁が菲薄化して瘤状に突出した部分を心室瘤という。心室瘤は,瘤壁に筋層が存在している真性心室瘤と,筋層が欠落し瘤壁が心膜組織(epicardium,pericardium)からなる仮性心室瘤に大別される。心室瘤は心筋梗塞症に合併するものがほとんどで,まれに胸部外傷や心サルコイドーシスなどによるものが報告されている。心筋梗塞による心室瘤は前壁梗塞例での心尖部に好発し,再疎通療法末施行例に多いとされている。瘤壁は心筋梗塞巣の般痕化にともない収縮能を失い,周囲の健常心筋とは反対の,収縮期に突出する奇異性運動を示す。心室瘤の診断には心エコー図検査や左室造影検査が有用である。臨床的には,壁在血栓の形成,左心機能低下,心室性不整脈の起源が問題となる。また仮性心室瘤は心破裂の前段階の一つであり,早期外科的修復の適応である。

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