日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

中毒性ショック症候群

黄色ブドウ球菌またはA群溶血連鎖球菌の感染にともなって,局所で産生された外毒素の toxic shock syndrome toxin(TSST-1)によって多臓器障害を呈する疾患を中毒性ショック症候群という。特徴的な臨床症状は急激発症の高熱,低血圧,全身性の発疹,激しい筋痛,嘔吐と下痢,頭痛および非限局性の神経症状等である。ショックやDICなどへ進展し,多臓器不全で死亡することがある。1978年に小児で最初に報告され,その後1980年台に米国で生理中の若い女性が腟に挿入したタンポンが原因で黄色ブドウ球菌が腟内に増殖し,その菌が産生する外毒素によってショック状態となる患者が多発した。治療法は大量輸液とカテコールアミンによる循環管理が主体で,臓器障害が進行すれば人工呼吸管理や血液浄化法等が必要となる。原因菌に対する抗生物質はペニシリン,第一世代のセファロスポリン,クリンダマイシン等が第1選択である。また,局所の感染部位同定とその外科的治療(デブリドメントやドレナージ等)が重要である。

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