医学用語解説集
起坐呼吸
呼吸困難が臥位で増強し,起坐位または半坐位で軽減するという臨床的徴候。一般に左心系の機能低下,僧帽弁膜症などによる左心不全の主要徴候として知られている。左心不全の状態で臥位をとると,右心系への静脈還流の増加,これによる肺血流の増加から,肺うっ血,肺コンプライアンスの減少をきたし,呼吸仕事量の増大を招く。この変化が起坐位では軽減するため,患者は自ずから起坐位をとろうとする。ただし,起坐呼吸は左心不全に特異的なものではなく,気管支喘息や肺炎,気管支炎などでもみられる。これらの疾患では肺血流量の問題ではなく,気道分泌物の喀出が臥位では困難となることが原因と考えられている。