日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

高地障害症候群

急速に2500m以上の高度に上昇することでおこる障害を高地障害症候群という。上昇後6時間〜数日後に発症することが多く,頭痛,嘔気,嘔吐,不眠,めまい,食欲低下などがみられる。重症になると呼吸困難,胸部不快感が出現し肺水腫となる(高地肺水腫 high altitude pulmonary edema; HAPE)。さらに,脳浮腫がおこり,意識障害,歩行困難などの症状がみられることがある(高地脳浮腫 high altitude cerebral edema; HACE)。高地障害症候群の本態は,気圧低下による大気中の酸素分圧の低下と,酸素解離曲線の左方移動による低酸素症であり,その耐性には個人差が大きい。アセタゾラミド,デキサメサゾン,ニフェジピンが高地障害症候群の予防・治療に有効であるが,症状が出現したら,それ以上高度を上げないことが重要である。高地肺水腫や高地脳浮腫では,酸素投与と速やかな下山が必須である。

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