日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

持続動注療法

血管内留置カテーテルを介し持続注入ポンプ(輸液ポンプ)を用いて各種の薬物を当該動脈内に持続的に注入する治療法。静注などの全身投与に比較し,当該動脈を支配血管とする臓器,組織に対し高濃度の薬物を注入することが可能であり,より高い薬物効果と副作用軽減効果を期待できる。各種癌に対する治療法のひとつとして用いられることが多いが,救急医学の領域においては,壊死性膵炎に対する治療法のoptionとして用いられている。蛋白分解酵素阻害薬(nafamostat mesilateなど)と抗菌薬(imipenemなど)を膵支配動脈(膵頭部壊死に対しては総肝動脈または上腸間膜動脈,膵体尾部壊死に対しては脾動脈)に持続動注する方法であり,点滴静注に比較しこれらの薬物の膵組織濃度を高めることができるため膵組織の炎症進展と感染性壊死を抑制することが期待できる。膵炎発症早期ほど効果が高いとされ,原則として通常5日程度実施し,以後は病状に応じて継続あるいは中止する。急性膵炎診療ガイドラインでは「推奨度C」とされ,その有効性を証明するためには,今後RCTによるさらなる評価が必要とされている(急性膵炎の診療ガイドライン作成委員会編,エビデンスに基づいた急性膵炎の診療ガイドライン第1版,金原出版,東京,2003)。

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