日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

麻薬

強い中枢麻痺作用を持つ物質で,わが国では麻薬取締法によってアヘンアルカロイド系(opium alkaloids)とコカアルカロイド系(coca alkaloids)および合成麻薬が指定されていたが,平成17年より,幻覚作用のある大麻,LSD,マジックマッシュルームも麻薬指定となった。これらの物質は摂取により多幸感をともなう。末期ガンの緩和医療の一環としてモルヒネなどによる疼痛管理のほか,術後・外傷症例に対する急性期疼痛管理に積極的に用いられる。生体では,エンケファリンやβ-エンドルフィンなどがオピオイドレセプターに結合し,麻薬効果を発現するといわれ,いわゆる脳内麻薬と称される。患者自身が痛みに応じて麻薬を静脈内または硬膜外投与をおこなう患者管理鎮痛法(patient-controlled analgesia; PCA)も盛んに利用されている。麻薬は強烈な快感が得られるため習慣性となり薬物依存症に陥りやすい。麻薬を断つ際には禁断症状(断薬症状)を呈し麻薬中毒治療の困難性がここにある。診療上,麻薬中毒患者と判明したら都道府県知事への届け出の義務が課せられている(麻薬取締法)。

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