日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

溶血性尿毒症症候群

溶血性貧血,血小板減少,急性腎不全をともなう症候群で,大腸菌などが産生するvero毒素が原因となる。血便をともなう下痢,嘔吐,腹痛,発熱を来す腸管出血性大腸炎に引き続き,数%〜10%の頻度で,数日〜10日経過してHUSを発症する。多くは大腸菌O‐157が原因となるが,O‐26,O‐111,O‐128,O‐145等もvero毒素を産生するため本症の原因となりうる。このような腸管出血性大腸菌感染症は「三類感染症」であり,確診したら保健所長を経由し,都道府県へ届け出る義務がある(「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律(いわゆる感染症新法)」平成11年4月1日施行)。腸管出血性大腸炎の多くは小児,高齢者にみられ,夏期に食中毒あるいは飲水汚染により集団発生となることが多いが,冬期でも発生する。HUSの発症は5歳以下の小児にとくに多い。大腸菌O‐157が関与せず,出血性大腸炎をともなわないHUSもある。治療法は,vero毒素除去のための輸液,利尿薬,血液透析,血漿交換と,感染症に対する抗生物質治療が必要であり,臨床症状に応じて,高血圧・中枢神経症状に対する治療も必要である。急性期死亡率は2‐3%である。

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