日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

気道熱傷

火災や爆発事故により,高温の煙,水蒸気,有毒ガスを吸入することによって生じる呼吸器系の障害の総称。障害を受ける部位により,上気道型気道熱傷(咽頭,声門,喉頭の損傷),肺実質型気道熱傷(気管,気管支,肺胞)に分類される。熱による障害は上気道までにとどまるのが普通であり,肺実質型の損傷は煙中の各種の刺激性の有毒ガスによって引きおこされると考えられている。気道熱傷の存在を疑うべき状況として,閉所での受傷,顔面熱傷や口腔・鼻粘膜の熱傷の存在などがある。また,嗄声,呼吸困難,聴診上wheezingの聴取などは気道熱傷を疑う症状・所見である。診断には気管支鏡検査が有用であり,粘膜の発赤,びらん,浮腫,煤付着などを認める。上気道型では,進行性に声門・喉頭などの浮腫が進行し,気道閉塞による換気障害や窒息を来す危険があるため,気管挿管による気道確保のタイミングを誤らないよう注意する。肺実質型では,有毒ガスによる下気道,肺胞の炎症が惹起され,進行性に酸素化障害を引きおこす。

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