日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

深部静脈血栓症

下肢の深部静脈に血栓を生じた状態。明らかな症状を呈さない場合もあるが,下肢の特徴的な浮腫と皮膚色調を呈し,肢周囲径の左右差,静脈拡張,皮膚色素沈着,湿疹,びらん,潰瘍などを生じる。血栓が遊離して肺塞栓を生じると致死的病態となる。静脈血栓症の危険因子として肥満,手術後,長期臥床,妊娠,外傷・熱傷,悪性腫瘍,ホルモン療法などがある。近年,飛行機による長時間の旅行にともなって発症する本症ないし肺塞栓症がエコノミークラス(long-travel)症候群と呼ばれ注目されている。血栓存在下では血中D-dimer値が上昇する。D-dimer値(酵素結合免疫測定法;ELISA)300‐500ng/mlを閾値とすると,静脈血栓塞栓症の感度は95‐97%,特異度は45%と考えられている。また最近,D-dimer定性迅速測定キットも開発市販されている。深部静脈血栓症の予防には弾性ストッキングや間欠的空気圧迫具の装着に加え,ハイリスク例には未分画ヘパリンやワルファリンの投与がおこなわれる。

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