日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

AIS

AISは1971年に米国自動車医学振興協会(AAAM)から発表された「外傷の種類と解剖学的重症度を表すコード体系」で,現在最新のものはAIS 90 update 98である。AISコードは6桁の整数と1桁の小数からなる数値コードで,整数部分は各外傷を定め,小数部分はその外傷の重症度を表している。例えば両側大脳に多発性に存在する脳挫傷(表在性で挫傷部周囲の浮腫を含めた大きさが30ml以下)の場合,AIS コードは140622.3となる。この例の場合,1桁目の1は損傷区分(頭部)を,2桁目の4は解剖学上の構造(内臓)を,3‐4桁目の06は解剖学上の部位もしくは損傷の種類を,5‐6桁目の22は損傷状態を表している。重症度は1〜6の整数で表され,数値が大きい程重症である。なお,重症度6は現在の医療では救命することができない限られた外傷(脳幹離断,断頭,肝血管系完全分離,など)に割り当てられており,単に救命できなかったという理由だけで6としてはならない。外傷患者の解剖学的重症度の指標であるinjury severity score(ISS)は,AISを用いて算出する。したがって,正しくISSを算出するためには,正しいAISコードを選択することが重要であり,コード選択の規則を正しく理解していなければならない。また,AIS手引書には外傷を9つの身体区分に分けて記載しているが,その身体区分とISSの6部位は必ずしも一致しないので注意を要する。

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