日本救急医学会・医学用語解説集

ホーム > 医学用語解説集 > 索引 >

医学用語 解説集

消毒法

消毒とは病原微生物を殺菌または減少させ,感染を予防する処置である。非病原菌,ウィルス,細菌芽胞の不活化は問わない。米国CDC(疾病管理予防センター)ガイドラインは滅菌および消毒水準を4段階に分類している。1)sterilization(滅菌):細菌芽胞を含む全ての微生物の殺滅,2)high-level disinfection(高水準消毒):細菌芽胞の一部を除いて全ての微生物の殺滅,3)intermediate disinfection(中水準消毒):細菌芽胞以外の全ての微生物を殺滅,4)low-level disinfection(低水準消毒):結核菌など消毒薬に抵抗性を示す一部の菌以外の微生物を殺滅。消毒の方法は化学的消毒(消毒薬)と物理的消毒(加熱,紫外線,放射線)に分類される。わが国で市販されている消毒薬はハロゲン系薬剤,酸化剤,アルコール類,アルデヒド類,フェノール類,四級アンモニウム塩,両界面活性剤,クロルヘキシジンの8種で,使用に際しては対象とする微生物,医療器具,使用部位,毒性を考慮しなければならない。なお,米国では無生物に使用する消毒薬をdisinfectants,生体に使用する消毒薬をantisepticsと呼んでいる。熱湯や蒸気による消毒はリネン類,診察器具などに,紫外線は室内の空気殺菌,室内表面殺菌などに応用されている。滅菌(sterilization)とは生きている全ての微生物を死滅除去する処置である。滅菌保証レベルは個々の製品に1個の微生物が生き残る確立が1/1,000,000とされる。滅菌方法としては高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)が広く普及している。非耐熱性器具の場合は酸化エチレンガス滅菌がおこなわれてきたが,毒性,環境汚染が大きな問題になってきている。放射線滅菌は常温,包装の状態で滅菌が可能であるため,医療製品の滅菌に利用されている。

索引に戻る トップページへ