日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

播種性血管内凝固症候群

基礎疾患の存在下に微小血管内血栓形成が多発かつ持続し,消費性凝固障害による出血傾向と微小循環不全による臓器障害をきたす重篤な病態である。敗血症に代表される凝固優位なDICでは臓器障害が著しく,白血病に代表される線溶優位なDICでは出血傾向が著しいなど基礎疾患によりDICの臨床像は異なっている。このため従来の臨床症状を重視した診断基準(厚生省のDIC診断基準,1988年)では早期診断が困難だった。さらに,凝固線溶反応や炎症反応,血管内皮細胞機能の分子生物学的知見が集積された結果,炎症反応における白血球-血管内皮細胞反応もDICの進展,臓器障害に重要な病態であることが明らかになった。この動向を受けて日本救急医学会と日本血栓止血学会のDIC合同委員会は2005年にDICの早期診断と治療開始の整合性を求め,systemic inflammatory response syndrome(SIRS)診断項目と血小板減少率,FDPをスコアに採用した「急性期DIC診断基準」を発表した。

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