日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

壊死性筋膜炎

浅層筋膜を細菌感染の主座として急速に壊死が拡大する軟部組織感染症である。切創,虫刺症,注射や軽微な外傷,熱傷などを契機に発症し,進行するとDIC,敗血症を発症し予後不良となる。A群・G群溶血性連鎖球菌,Staphylococcus属,Aeromonas属などが起炎菌となるほか,魚介類の経口摂取でVibrio vulnificusが起炎菌となる例も報告されている(A群溶血性連鎖球菌やVibrio vulnificusを俗に“人食いバクテリア”ともいう)。嫌気性菌との混合感染(synergistic infection)が原因となる場合もある。診断基準としてFisherらは以下の6項目を満たす病態としている。@広範な浅筋膜と周囲組織の壊死,A精神症状をともなう,中等度ないし高度の全身性中毒症状,B筋層が侵されない,C創および血液中にclostridiaが証明されない,D大血管の閉塞がない,E病理組織検査で,高度の白血球浸潤,筋膜と周囲組織の壊死,微小血管の血栓。急速な経過をたどるため,四肢切断を余儀なくされる場合もあり,早期診断と早期治療が病巣の拡大を阻止する唯一の方法である。早期にdebridementによる広範な壊死組織除去が必須となる。γグロブリン大量投与,高圧酸素療法,NO療法なども試みられている。

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