American College of Surgeons, Committee on Trauma（ACSCOT）の展開する外傷初期診療の教育プログラムをいう。外傷診療ではpreventable trauma deathを回避するために，診療に携わる全ての医師に標準的な診察手順，蘇生，全身管理，処置や手術の優先順位の判断など包括的な診療能力が求められる。そのためには統一された診療理論に基づいた実地修練や実践に即した教育・研修が必要となる。これらの条件を満たした外傷初期診療の教育プログラムとして米国を中心におこなわれているのがATLSであり，米国では外傷センター勤務の医師に習得が義務づけられている。その診断理論は，生理学的な徴候の異常からただちに蘇生を開始し（primary survey），状態の安定化を確認したうえで各部位の本格的な診断や治療（secondary survey）に移行していく。本邦では，わが国の診療実態に合わせた標準化プログラムJATECTM（Japan Advanced Trauma Evaluation and Care）があり，外傷初期診療ガイドラインに基づいて標準初期診療手順が実践できるようになることを目標としている。