日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

診断的腹腔洗浄

腹部外傷の開腹適応を決めるための補助検査法のひとつである。腹部小切開法または穿刺法により専用のカテーテルを腹腔内にいれ,そのカテーテルを通して37℃に温めた生理的食塩水を1000ml注入する。Rootらの原法(1960)では,回収液の血球算定(赤血球数>10万/mm3,白血球数>500/mm3)とアミラーゼ>100U/dlを陽性とし開腹適応とされた。米国の外傷センターで汎用されたが,最近では,超音波エコー法(FAST)により腹腔内出血の有無が判定できるので,回収液の赤血球数だけでは開腹適応とされなくなった。意識障害や脊髄損傷を合併するために腹部理学所見が取れない多発外傷患者で,腸管損傷など管腔臓器損傷の早期診断を目的として施行される。わが国では回収液の開腹適応基準は,大友らの基準(J Trauma 1998; 44: 991‐7)が用いられており,受傷後3〜18時間で施行された場合,正診率は90%以上とされている。

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