日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

カウンターショック

心室細動,無脈性心室頻拍などの致死性不整脈や,心房細動,心房粗動,発作性上室性頻拍,心室頻拍などの頻拍性不整脈に対し,これらを洞調律に復帰させることを目的として直流通電する方法をいう。経皮的におこなう場合と,手術中に,心臓に直接電極をあてておこなう方法がある。致死性不整脈に対しておこなうカウンターショックを電気的除細動(defibrillation)といい,頻拍性不整脈に対しておこなうそれをカーディオバージョン(cardioversion)という。前者は,心筋組織全体を一気に脱分極させることにより細動を停止させるのに対し,後者は,頻拍の原因となっている心筋内の反復性リエントリー回路の電気的循環を停止させることを目的としている。経皮的におこなわれる場合がほとんどであり,電極(パドル)を胸壁の中央やや右上(右鎖骨直下)と心尖部に当て通電する。除細動をおこなう場合,従来の単相性(monophasic)電流の機種を使用する場合には360J(ジュール),最近の二相性(biphasic)電流の機種を使用する場合は120〜200Jを用い,非同期で1回の通電をおこなうが,除細動できなければ繰り返し通電する。カーディオバージョンをおこなう場合,単相性でも二相性でも,通常100Jを用い,心電図上の心室波形主棘(QRS)に同期させて通電する。無効の場合さらにJ数を増加させて繰り返す。心房粗動,発作性心室頻拍症では50Jの低Jでも有効のことが多いが多形性心室頻拍では,より高いJ数(200J)を用いておこなう。致死性不整脈に対しておこなう除細動は,心停止発症から5分以内の早期におこなわれることが生存率改善のために重要であり,近年,医療従事者以外でも使用できる自動体外式除細動器(automated external defibrillation; AED)が人の多く集まる場所に設置されるようになりつつある。Brugada症候群や心筋症などで致死性不整脈発生による突然死の危険性が高い症例には植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator; ICD)が用いられる。

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