日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

酸素療法

大気より濃度分圧の高い酸素を投与することにより,吸気酸素分圧を高め,動脈血酸素分圧を高める治療法をいう。酸素投与の方法を以下に示す。

鼻カニューラによる投与:
鼻カニューラは,短いカニューラを通して鼻孔に低流量(6L/分以下)の酸素を流すもの。少量の酸素しか投与できないので吸入酸素濃度はせいぜい45%とあまり高くならない。
フェイスマスクによる投与:
固定用のゴムベルトの付いたビニール製マスクにて酸素を供給する方法。リザーバーと呼ばれる酸素を溜めておくビニール袋がないと,吸気時に顔面とマスクの隙間(マスクに穴が開いているものもある)から大気を吸い込むことになり,高い吸気酸素分圧が得られない。ただしリザーバーだけでは,部分再呼吸となるので,二酸化炭素の再吸入を防ぐために一方向弁がついているものがある。一方弁は,通常リザーバーマスクのバッグと酸素供給口の間とマスクの両側の孔についている。成人において一方向弁付きリザーバーマスクを用い,酸素流量を10L/分以上にしリザーバーを膨張した状態にすると,100%に近い吸気酸素が得られる。
ベンチュリーマスクよる投与:
筒(ベンチュリー管)の内部にジェット流の100%酸素ガスが流れる時陰圧が生じ,周囲の大気を取り込み(ベンチュリー効果),希望する酸素濃度を吸入できるように設計された酸素マスクによる酸素投与法。ただし15L/分程度の酸素流量しか得られない場合には,吸気酸素を50%以上に上げることは難しい。

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