日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

脳低温療法

低酸素,外傷,出血などで損傷を受けた脳に対し,脳保護作用や頭蓋内圧低下作用を目的として,損傷後早期に,一定期間,体温(脳温)を32-34℃まで低下させる低体温療法を脳低温療法という。心肺蘇生後患者におこなう低体温療法は,非施行群に比較して有意に転帰が改善すると報告されている(N Engl J Med 2002; 346; 549-63)。アメリカ心臓協会(American Heart Association; AHA)心肺蘇生と救急心血管治療のための国際ガイドライン2005によると,心肺停止患者で自己心拍再開後に意識回復がみられない症例のうち,初期心電図が心室細動を示した症例に対しては,32‐34℃の低体温療法を12‐24時間おこなうことが推奨されており,初期心電図が心室細動でなくとも低体温療法は有効であろうと結論している。重症頭部外傷や脳卒中患者に対する低体温療法の有効性については,未だ一定の結論に至らず,多くの地域や施設で検討が続行されている。

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