日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

界面活性剤

液体に溶けるとその溶液の表面張力を失わせる物質のこと。溶剤,乳化剤としての使用のほかに,殺菌,消毒,防カビ剤として,希釈して農薬の展着剤,制汗剤や化粧品の防腐剤などに利用され,柔軟剤や静電気防止剤,ヘアリンス,トローチなどにも広く使用される。5%以上の高濃度ではタンパク凝固作用を持つことから,誤飲・体表への暴露,自殺目的に経口摂取した場合に,強力な腐食作用により皮膚,消化管を直接傷害して重症化しやすい。石鹸などの陽イオン界面活性剤,陰イオン界面活性剤,両性界面活性剤,非イオン界面活性剤に分けられ,毒性は陽イオン>陰イオン>非イオン性の順に強い。界面活性剤であるサーファクタントは胎生16〜26週の小管期にU型肺胞上皮細胞から分泌され,肺胞の気―液界面の表面張力を低下させ,肺胞虚脱を防止することにより正常な肺の換気を維持する。サーファクタント補充療法は,新生児特発性呼吸窮迫症候群(IRDS)に対し,生後8時間以内に気管内へ注入し,肺胞表面上に散布することにより肺胞の表面張力を下げ,肺胞虚脱を抑制し無気肺を改善する。

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