日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

一過性脳虚血発作

脳局所の血流減少によって片麻痺などの局所症候が突然に出現し,短時間のうちに後遺症を残さず回復する発作をいう。症候の持続は便宜的に24時間以内とされているが,通常は2‐15分以内である。発作は頻発することがある。出現する症候は閉塞動脈によって異なり,頸動脈系では一過性黒内障,片麻痺,半身感覚鈍麻,失語症などがみられ,椎骨脳底動脈系では,回転性めまい,複視,失調,嚥下障害,同名性半盲などがみられる。アテローム硬化で頭蓋外動脈に形成された壁在血栓の一部が剥離し,微小塞栓として発生する機序が成因として重要視されており,TIAから脳梗塞への移行は5年間の累積で20‐30%とする報告が多い。とくに初めの1か月以内は高率といわれる。治療は脳梗塞の予防に向けられ,アスピリンやチクロピジンなどの抗血小板薬が主に用いられている。

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