日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

心肺蘇生法

心肺機能が停止した状態にある傷病者の自発的な血液循環および呼吸を回復させる試み,あるいは手技を心肺蘇生法(cardiopulmonary resuscitation; CPR)という。CPRは一次救命処置(basic life support; BLS)と二次救命処置(advanced cardiac life support)に分かれる。BLSとは,緊急病態(心肺停止)の認知,救急医療システムへの通報,気道確保(airway),人工呼吸(breathing)および心臓マッサージ(circulation)により自発的な血液循環および呼吸を回復させる試みを指し,医療従事者に限らず誰でもおこなうことのできる心肺蘇生法をいう。このうち気道確保,人工呼吸,心臓マッサージの3つの手技を基本CPRという。これに対し,ACLSとは,通常,病院等の医療施設において,医師を含む医療従事者のチームによっておこなわれる高度な心肺蘇生法を指し,基本CPRとともに,気管挿管をはじめとする確実な気道確保と高濃度酸素投与,電気的除細動(defibrillation)および静脈路確保と薬物投与を主体とした手技によりなされる。心肺蘇生法が成功するかどうかの鍵は,いかに早く電気的除細動をおこなうかにかかっているといって過言でなく,心停止から5分以内に電気的除細動をおこなうことができれば有意に生存率が高くなることが強調されている(Circulation 2005; 112: IV-12‐8)。このため,現場に居合わせた人(バイスタンダー)がその場で電気的除細動をおこなえるように,誰にでも使用可能な自動体外式除細動器(automated external defibrillator; AED)が考案され,人の集まる場所に多く置かれるようになりつつある。近年,AEDを用いた電気的除細動の手技もBLSの一部に含まれるようになった。アメリカ心臓協会(American Heart Association; AHA)は,ACLSの語をadvanced cardiovascular life supportの略語としても用いており,この場合,上に述べた心肺蘇生法とともに,徐脈・頻脈などの不整脈に対する救急治療,および急性冠症候群や脳梗塞の急性期治療を含めた,より広い意味での救急心血管治療(emergency cardiovascular care; ECC)を表す語として用いられる。

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