日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

脊髄損傷

脊髄損傷は脊髄振盪spinal concussion,脊髄圧迫spinal compressionおよび脊髄挫傷spinal contusionに分類される。高所よりの墜落や交通事故などで発生する。脊椎損傷に合併する脊髄損傷が多いが,無骨傷の脊髄損傷もまれではなく,その多くは頸髄に発生する。好発部位は第5ないし第6頸椎および胸腰椎移行部である。重度の頸髄損傷では受傷直後から損傷レベル以下の運動,知覚機能はもとより脊髄反射も全て消失する。これを脊髄ショックspinal shockと呼ぶ。麻痺の程度により,完全麻痺と不完全麻痺,損傷のレベルにより四肢麻痺と対麻痺に大別される。初期治療は呼吸管理と循環管理が最も重要である。第4頸髄より上位頸髄損傷では直ちに気管支ファイバースコープガイド下で挿管し呼吸器を用いて管理しなければならない。交感神経系の破綻による神経原性ショックで徐脈性の低血圧がみられるときは,細胞外液製剤の急速投与と昇圧薬の投与をおこなう。受傷から8時間以内で禁忌がない限りメチルプレドニゾロンの大量療法が推奨されたが(Bracken MB, et al: N Engl J Med 1990; 322: 1405),現在はcontroversialである。受傷直後より頭蓋骨直達牽引などの保存的固定をおこない,可及的早期に観血的固定術をおこなう。

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