日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

動脈血中ケトン体比

肝細胞機能,とくに肝ミトコンドリア機能の指標である。動脈血ケトン体比(AKBR)はアセト酢酸/β-ヒドロキシ酪酸の比で表され,肝ミトコンドリア内の酸化還元状態,即ちミトコンドリア内のNAD+/NADH(redox state)を反映する。さらにこれは(ATP+1/2ADP)/(ATP+ADP+AMP)で示される肝細胞energy chargeとも相関するとされる。肝内で生成されたアセト酢酸は,ミトコンドリア内の酸化還元状態によってβ-ヒドロキシ酪酸と相互変換され,その比(AKBR)は正常状態では1以上である。肝細胞機能が障害され肝細胞energy chargeが低下すると,肝ミトコンドリアは還元状態に傾きβ-ヒドロキシ酪酸が増加しAKBRは低下する。一方,ショックや低酸素血症で酸素運搬能が低下すると肝細胞機能は正常でも肝細胞が利用できる酸素が不足し,ATPを産生できずにAKBRは低値となる。

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