日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

偽膜性大腸炎

腸粘膜に偽膜形成をみる抗菌薬起因性腸炎である。原因は抗菌薬投与により腸内細菌叢が変化し増殖するクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)などの菌毒素である。抗菌薬投与中に高熱,白血球増多がみられ,腹痛,下痢,血便など腸炎症状をともなえば本症が疑われる。黄色から緑色の炎症性膜様物が点状に大腸粘膜をおおい,ときに小腸にも及ぶ(偽膜性全腸炎)。大腸に好発し,とくにS状結腸・直腸に多い。原因抗菌薬の種類は多彩で,最初に本症との関連が指摘されたクリンダマイシン以外にもセフェム系剤や広域合成ペニシリンなど多数ある。本症は抗菌薬の経口投与,静脈投与いずれでもおこり,抗菌薬投与中止後に発症してくることもある。投与中の抗菌薬を中止するだけで症状の軽快をみることもある。メトロニダゾール(metronidazole)とバンコマイシン(vancomycin)の経口投与が有効であるが,芽胞が残ると再燃がみられる(Gorbach S: N Engl J Med 1999; 341: 1689)。

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