日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

前負荷

心筋が収縮するときの負荷(総負荷)は,前負荷と後負荷に分けられる。Frank-Staringの法則で明らかにされたように,1回の収縮で拍出される血液量(一回拍出量)は心室容積(拡張末期容積)に依存する。心室容積は静脈環流(循環血液量,心房収縮など)によって決定される。この拡張末期容積に相当するものが前負荷である。縦軸を一回拍出量,横軸を拡張末期容積(圧)とした心室機能曲線でみると,正常心臓では前負荷の増加に応じて一回拍出量が増加する(心室機能曲線の上昇脚)のに反して,収縮力が低下している心臓では前負荷増大に対する一回拍出量の増加量は少なく(上昇脚の傾きが小さい),また前負荷がある一定レベルを超えるとむしろ一回拍出量は減少する(心室機能曲線の下行脚)ことが知られている。心拍出量の規定因子は前負荷,後負荷,心収縮力,心拍数の4つである。前負荷に対して,後負荷は心筋が収縮されるときに直面する力と定義され,大動脈圧や平均左室圧や末梢血管抵抗がその指標とされている。

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