わが国ではプライマリケアという概念を輸入した当時，既に国内にあった第一線医療，地域医療，一次医療，初期医療などの言葉で言い換えようとしたが適切ではないとのことでそのままカタカナで表記するようになった。これには日本プライマリ・ケア学会の役割も大きい。世界的には開発途上国などにおける予防と公衆衛生を重視したプライマリヘルスケアと，わが国のように高度専門医療も発展した先進諸国におけるプライマリメディカルケアとは似て非なるものである。後者はその特徴として，ACCCAに纏められる近接性Accesssibility，継続性Continuity，包括性Complehensiveness，協調性Coordination，説明責任 Accountabilityといったものを基本特性としている。医師の提供者の実体としては北米では家庭医，英国，カナダでは一般医が成熟しており有名である。わが国でも現在，総合内科，総合診療科，家庭医療，地域医療などを看板としてプライマリケアを供給する医師の養成が行われている。