日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

食中毒

摂食食物中に存在する毒物(健康に有害な,あるいは生命の維持に危険な物質)による中毒のこと。細菌の増殖や細菌性外毒素によって引きおこされる細菌性食中毒(bacterial food poisoning)が一般的である。発熱,嘔吐,腹痛,下痢などを主症状とし,重篤になれば脱水,ショックを呈するために輸液,適切な抗菌薬投与などの治療が必要となる。例えば,ブドウ球菌食中毒はブドウ球菌の産生する外毒素が原因となり,外毒素に汚染された食物を摂取して数時間以内に発症する。サルモネラ食中毒はサルモネラ菌株が胃腸管内で増殖することにより通常,8‐24時間以内に発症する。調理時や調理後の汚染,温暖・湿潤な環境下での保存などが原因となり,仕出し弁当,学校給食などにおいてしばしば集団発生するため,救急疾患としても,また公衆衛生的にも重要である。キノコ類の摂取により発症するキノコ中毒(mushroom poisoning)は消化器症状の他,キノコの種類によっては神経症状や精神症状を呈するものもある。貝毒,フグ中毒なども生活に密着した中毒であり,消化器症状よりも神経症状を呈することが問題であり,重症例では呼吸筋麻痺が生じる危険性の高い中毒である。

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