日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

アンチトロンビン

血液凝固因子であるトロンビン,活性化第IX‐XII因子などのセリンプロテアーゼと結合し凝固作用を阻害するセリンプロテアーゼインヒビターであり,肝臓および血管内皮細胞で産生される。抗凝固作用の他に,血管内皮細胞のプロスタサイクリン産生を介する抗炎症作用も有する。アンチトロンビンはヘパリン結合部位を有し,ヘパリンと結合することにより,プロテアーゼとの複合体形成反応はより速やかに進行し,より強い抗凝固作用を発揮する。本物質の欠乏もしくは欠損では凝固系優位の状態となり,各種血栓症発症の素因となる。肝硬変などの肝機能異常では産生の低下により,DICでは消費により血中のアンチトロンビンは減少する。侵襲時の凝固異常が微小循環障害を招き,種々の臓器障害に関与している可能性があることから,アンチトロンビンは,凝固系-抗凝固系のバランスおよび血管内皮細胞傷害の程度を知るパラメーターの一つとされている。さらに,DICの治療薬として用いられる。

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