蛋白分解酵素であるプロテアーゼの活性を阻害する物質の総称。阻害するプロテアーゼの種類によって分類され，セリンプロテアーゼインヒビター，システインプロテアーゼインヒビターなどがある。臨床使用されている薬剤で代表的なものとしてはメシル酸ナファモスタット，メシル酸ガベキサート，ウリナスタチンなどがある。プロテアーゼ自体は自己防御機構の一つとして必要不可欠な物質であるが，敗血症，重症急性膵炎，急性肺障害，SIRSなどで，その活性が異常に亢進した状況では生体恒常性が破綻し，さらなる臓器障害の原因となりうる。したがってプロテアーゼインヒビターは，前述のような病態において，プロテアーゼ活性のコントロールを目的として投与される。