日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

敗血症性ショック

臓器障害または臓器灌流異常をともなう敗血症(重症敗血症)のうち,適切な輸液負荷を行っても低血圧が持続する状態。臓器灌流異常に基づく乳酸アシドーシス,乏尿,意識混濁などをともなう。低血圧は,収縮期血圧が90 mmHg未満,あるいは通常よりも40 mmHg以上の低下で診断されるが,強心剤や昇圧剤を使用している場合は必ずしも低血圧を呈していなくてもよい(ACCP/SCCM Consensus Conference, 1992)。敗血症性ショックにおいては,感染にともなう種々のメディエータ放出により,初期には末梢血管抵抗低下が引きおこす相対的循環血液量減少によって低心拍出量状態となる。通常,この状態に対して輸液負荷による循環血液量の補正がおこなわれるが,その結果として高心拍出量状態(hyperdynamic state)がみられることも多い。治療は感染の制御とともに,早期に臓器灌流異常の改善をはかる必要がある。このための初期蘇生輸液(fluid resuscitation)は,最初の6時間以内に以下の全てを満たすことを目標とすることが推奨されている(N Engl J Med 2001; 345: 1368)。すなわち中心静脈血圧 8‐12mmHg,平均動脈血圧 65 mmHg以上,尿量 0.5 ml/kg/hr以上,中心静脈血(上大静脈)または混合静脈血酸素飽和度 70%以上などである(Crit Care Med 2004; 32: 858)。

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