日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

ガス壊疽

ガス産生菌による進行性の軟部組織感染症で,組織内にガスが認められる。炎症は皮下組織から筋組織までおよぶ。狭義には,挫滅創への嫌気性グラム陽性桿菌であるClostridium属(C. perfringensなど)の感染による場合をいうが,広義にはClostridium属以外のガス産生菌によるものも含まれる。Clostridium属は,偏性嫌気性の芽胞を持つグラム陽性桿菌である。これらは,ガス壊疽菌群と一括して称され,土壌,ヒトや動物の腸管内に生息する常在菌である。皮下などの嫌気的条件下で増殖し,毒素を産生する。最近では糖尿病などの免疫不全状態における発症が増加している。症状としては,皮膚が青銅色(bronze color)を呈し,疼痛,腫脹とともに局所ガス触知(圧迫により握雪感snowgrasping sense)を認めることがあり,病巣は急速に拡大する。創部局所は高度の壊死性変化をきたし,甘酸っぱい悪臭を生じる。対応が遅れると全身状態が悪化し,ショック,DIC,多臓器不全を合併する。治療としては,まず十分なデブリードマンをおこない,状況によっては四肢の切断も考慮する。抗生物質はペニシリン系,あるいはセファロスポリン系の大量投与が推奨される。高気圧酸素療法がおこなわれる場合もある。

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