日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

破傷風

破傷風菌(Clostridium tetani)感染によっておこる疾患。菌体外毒素(tetanospasmin)により,神経障害を中心とした症状がみられる。破傷風菌は嫌気性グラム陽性桿菌で,土壌中に広く分布する。挫創,とくに刺創のような嫌気的条件下で感染が成立しやすい。潜伏期は3日〜3週間程度である。咬筋や顔面筋の痙攣による開口障害,痙笑(trismus)に始まり,数日以内に躯幹筋の強直性痙攣をおこして後弓反張(opisthotonus)を呈する。初発症状出現から痙攣出現までの期間をonset timeと称し,48時間以内では予後不良である。日光,騒音などの刺激で全身性強直をきたし,呼吸障害により死亡することもある。抗菌薬,抗毒素血清(抗破傷風ヒト免疫グロブリン:TIG)の投与,創部開放処置に加え,呼吸管理や交感神経過緊張(sympathetic overactivity)に対する対応などの集中治療が必要である。

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