医学用語解説集
項部硬直
髄膜刺激症状の一つ。髄膜炎やくも膜下出血の際には,髄膜,頸部神経,神経根部に浮腫が生じ,疼痛閾値が低下するとともに,後頭部,項部の筋肉に持続的な収縮がおこる。この状態の患者の頭頸部を他動的に前屈させると,髄膜や神経根部が緊張し疼痛が誘発されるため,同部にかかる緊張を最小限にしようと,後頭部および項部の筋肉が反射的に緊張して抵抗が生じる。この一種の防御反応を項部硬直という。実際,生理学的に脊柱や硬膜は,頭頸部を前屈させることにより,頸部で5mm,脊髄円錐部で1mm程度頭側に偏位し,硬膜内神経根や硬膜外脊髄神経の緊張が増すことが知られている(O’Connell, 1946)