日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

焼痂切開

熱傷創の伸展不良に起因する胸郭運動制限や末梢循環障害に対して,熱傷皮膚(焼痂)を切開して圧迫を解除する方法。V度や深達性U度の熱傷では,焼痂となった皮膚は伸展性を失い硬くなる。このため,胸部から上腹部にかけての広範囲の深達性U度以上の熱傷では,呼吸に伴う胸郭の動きが制限され換気不全をきたす。この場合,焼痂切開をおこない胸郭の運動制限を解除することが必要となる。また四肢の全周性,もしくはそれに近い広範囲の熱傷の場合,受傷部より末梢側の血流が障害され,チアノーゼ・知覚異常・麻痺などの症状が出現する。この場合も焼痂切開の適応となる。切開の方向は体幹,四肢いずれにおいても長軸に沿っておこない,切開の深さは熱傷受傷組織全層にわたる必要がある。切開後の止血は十分におこない,圧迫包帯などを用いてはならない。

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