日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

化学的メディエータ

体内でさまざまな細胞から放出され他の細胞に働きかける化学物質の総称であり,広義にはサイトカインなども含まれるが,通常はサイトカインとは区別して用いられる。気管支喘息を例にとれば,Th2細胞から分泌されたinterleukin-4(IL-4)などのサイトカインの働きによって,好酸球や肥満細胞が分化・増殖し,ヒスタミン,トロンボキサン,ロイコトリエンなどの化学メディエータを放出する。このような物質が気管支平滑筋を収縮させたり,気道粘膜の浮腫をもたらして,喘息症状がおこる。つまり,サイトカインは生体反応全体を上流から支配するのに対し,化学メディエータは生体反応の下流において効果器に直接作用し,実際の生体反応を引きおこす物質である。ちなみに,アレルギー治療薬の多くは,これらの化学メディエータの合成や遊離を阻害する働きや,受容体への結合をブロックする働きを持っている。ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬,化学メディエータ遊離阻止薬,トロンボキサンA2合成酵素阻害薬,トロンボキサンA2受容体拮抗薬,ロイコトリエン受容体拮抗薬などがあげられる。

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