日本救急医学会・医学用語解説集

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医学用語 解説集

悪性症候群

主に向精神薬の開始や中断・再開などによって,高熱,意識障害,筋強直,横紋筋融解などをきたす症候群。語源であるフランス語の“syndrome malin”は,当初フェノチアジン系薬をはじめとする向精神薬使用中の患者にみられ,原因不明で致死的であったためにそう呼ばれた。他の原因薬剤として全てのパーキンソン病治療薬において報告されているが,ドパミン系刺激薬(L-ドーパ,ドパミンアゴニスト)の中止・減量で生じる可能性が高く,ドパミンと他の脳内神経伝達物質のバランスの不均衡が急に生じるために発現すると想定されるが,詳しい機序は不明である。診断は大症状(発熱,筋強直,CK値の上昇)と小症状(頻脈,頻呼吸,血圧異常,意識変容,発汗,白血球増多)のうち大症状3つ,または大症状2つ+小症状4つ以上と臨床検査値を参考に診断する。治療としてまず原因薬の使用を中止し,脱水の補正,体温調節(全身冷却),呼吸管理とともに筋弛緩,解熱効果に期待しダントロレンナトリウムの投与をおこなう。他にメチル酸ブロモクリプチンの消化管内経管投与も効果があるとされている。

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