患者・家族の皆様へ
(1)臨床研究について
それぞれの病気の診断や治療は、長い期間をかけて進歩・発展してきて現在の方法になっています。また、より効果的で安全な治療を患者さんにお届けするためには、これからも医療の進歩・発展は重要なことです。このような診断や治療の方法の進歩・発展のためには多くの研究が必要ですが、その中には健康な人や患者さんの方々を対象に実施しなければならないものがあります。これを「臨床研究」といいます。臨床研究は患者さんの方々のご理解とご協力によって成り立つものです。
この臨床研究は、参加施設の審査委員会の承認を受け、病院長の許可のもとに実施するものです。
(2)研究の概要について
研究題名:高齢敗血症性ショック患者に対する初期血圧管理戦略
(多施設共同ランダム化比較試験)
研究期間:参加病院臨床研究審査委員会承認日~2024年12月31日
参加予定者数:研究全体で836名
(3)研究の意義・目的について
敗血症性ショックの患者さんの管理における目標平均血圧は通常65mmHgとされます。これについて十分な根拠は乏しく、普段から血圧が高めの患者さんはより高めの血圧管理が好ましいのではないかとの議論もあります。
血圧は年齢の増加とともに上昇することが知られており、厚生労働省の国民健康・栄養調査でもそれが示されております。この研究は、元々の血圧が高いことが予想される高齢の敗血症性ショックの患者さんの平均血圧の目標値が65mmHgで十分なのか、より高めがいいのかを明らかにする研究になります。
(4)研究の方法について
対象となる患者さん
敗血症性ショックの診断で集中治療室に入院する65歳以上の患者さんを対象とします。
尚、この研究ではご自身で十分な理解の上同意をしていただくことが難しい患者さんを対象に含めます。その場合はご家族など代諾者の方にもご説明し、同意をいただくこととなりますので、ご理解ご協力をお願いします。
研究で行われる治療方法
対象となる患者さんは無作為に目標平均血圧を65-70mmHgとするか80-85mmHgにするか割付けられます。この血圧目標値は研究参加後から72時間(もしくは昇圧薬が不要になるまで)継続されます。
検査および観察項目
治療前、治療中、治療後に以下の情報を収集し、この研究のデータとして活用します。これらは通常診療で測定するものであり、研究参加によって追加で行われる検査や処置はありません。
@患者さんの基本情報
年齢、性別、既往症、日常生活動作レベル、感染源、血圧などのバイタルサイン、血液検査データなど
A治療関連情報
72時間以内の血圧の情報、輸液・昇圧薬を使用した量、手術施行の有無などの情報、不整脈や虚血イベントなどの有害事象発生の有無
B転帰関連情報
入院後28日のうち人工呼吸器や透析などの臓器サポートを行った日数、入院後90日時点での生死など
それぞれの患者さんにご参加いただく期間は90日間になります。それ以前に転院/退院された場合には電話等で状況をお問い合わせさせて頂きます。
(5)予想される利益と不利益
予想される利益
高めの血圧目標を設定することで、通常の血圧が高めの患者さんは健常時により近い臓器血流が保たれることで臓器保護効果が期待できます。
予想される不利益
高めの血圧目標を設定することで、通常の管理よりも多めの昇圧薬を用いる可能性があり、それに伴う不整脈や虚血イベント(腸管などの臓器や手足末端の循環障害)などの有害事象が生じる可能性があります。このような不利益が発生した場合は担当医師が適切に処置を行います。
(6)研究の任意性について
あなたがこの研究に参加されるかどうかは、あなたご自身の自由な意思でお決めください。たとえ参加に同意されない場合でも、あなたは一切不利益を受けませんし、これからの治療に影響することもありません。
(7)同意撤回の自由について
あなたが研究の参加に同意した場合であっても、いつでも研究への参加をとりやめることができます。同意の撤回によって患者さんが不利益を受けることは一切ありません。
(8)個人情報の取り扱いについて
この研究にご参加いただいた場合、あなたから提供された診療情報などのこの研究に関するデータは、個人を特定できない形式にした番号により管理され、インターネット経由で臨床研究データ管理システムに登録されます。
また、この研究が正しく行われているかどうかを確認するために、自主臨床研究審査委員会やモニタリング担当者などが、あなたのカルテや研究の記録などを見ることがあります。このような場合でも、これらの関係者には、記録内容を外部に漏らさないことが法律などで義務付けられているため、あなたの個人情報は守られます。
(9)情報の保管と他の研究への利用について
この研究で得られたデータは、少なくとも、研究の終了について報告された日から5年を経過した日または結果の最終の公表について報告された日から3年を経過した日のいずれか遅い日までの期間、適切に保管します。
あなたから提供された診療情報などのこの研究に関するデータは、同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いる可能性があります。その場合には、改めて研究計画書を作成又は変更し、必要に応じて審査委員会の承認を受け、病院長の許可を得たうえで使用させていただきます。
(10)研究に関する情報公開について
この研究の概要は参加施設のホームページおよび大学病院医療情報ネットワーク臨床試験登録システム(UMIN-CTR)で公開します。
この研究の実施中に、あなたの安全性や研究への参加の意思に影響を与えるような新たな情報が得られた場合には、すみやかにお伝えします。あなた個人の検査データについては、通常の診療と同様に、結果がわかり次第お知らせいたします。
また、この研究に関して研究計画や関係する資料をお知りになりたい場合は、他の患者さんの個人情報や研究全体に支障となる事項以外で、資料のご提供や閲覧をしていただくことができます。研究全体の成果につきましては、ご希望があればお知らせいたします。
いずれの場合も担当医師にお申し出ください。
(11)研究成果の公表について
この研究から得られた結果が、学会や医学雑誌などで公表されることはあります。このような場合にも、あなたのお名前などの個人情報が外部に漏れることは一切ありません。
(12)健康被害が発生した場合の対応と補償について
この研究は、保険適用が認められた標準的な治療を行いながら実施するものです。したがいまして、この研究中に健康被害が発生して検査や治療などが必要となった場合の費用は、通常の診療と同様に、あなたにお支払いいただくこととなります。この研究による特別な補償はありません。
(13)研究費用について
本研究の資金は日本救急医学会の研究資金や参加施設の診療科研究費などを用いて行われます。入院費用および手術や各種検査に係る費用はあなたの加入している医療保険(国民健康保険など)が用いられ、通常の診療と同様に自己負担分をお支払いただきます。したがってご参加いただくにあたって、あなたの費用負担が通常の診療より増えることはありません。また、ご参加いただくにあたっての謝金などのお支払いもありません。
(14)利益相反について
研究を実施するにあたり特定企業との利害関係はありません。実施にあたっては、本学の利益相反マネジメント委員会及び医学部附属病院臨床研究審査委員会で審議され、利益相反状況が無いことが確認されています。
※利益相反とは、研究者が企業など、自分の所属する機関以外から研究資金等を提供してもらうことによって、研究結果が特定の企業にとって都合のよいものになっているのではないか・研究結果の公表が公正に行われないのではないかなどの疑問が第三者から見て生じかねない状態のことを指します。
