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秋田市の救急救命士による気管挿管に関する4学会合同調査報告書

(日本救急医学会、日本麻酔科学会、日本臨床救急医学会、日本蘇生学会、2002年7月)
目次

調査目的
調査対象機関・団体ならびに担当者

調査結果
1.秋田市の救急救命士による気管挿管の背景
2.合同ヒアリングから浮かび上がった問題点とその対応
 (1)違法行為に対する責任の明確化
 (2)メディカルコントロール体制の監視機能
 (3)救急医療に関わる医学教育の再検討
 (4)データの適正な管理と公開
 (5)行政指導体制の二重構造

4学会が今後検討すべき課題
 (1)救急救命士による気管挿管事例の検証
 (2)発表論文の再評価
 (3)侵襲的処置に関わる病院実習の方法についての検討
 (4)医師に対する救急蘇生法教育
 (5)病院前救護における安全、迅速な気道確保の検討
 (6)病院前救護における記録法の再検討
 (7)心肺蘇生法の啓発運動の全国的展開

調査年月日
合同調査参画学会ならびに調査担当者名簿
付記


調査目的
 わが国の今後のメディカルコントロール体制構築に資するため、救急救命士による気管挿管が恒常的に行われていた秋田市におけるメディカルコントロール体制について、関係者からの聞き取りによる調査を行った。

調査対象機関・団体ならびに担当者 このページの上へ
(訪問順)
1. 秋田県医師会(寺田俊夫会長、門脇 謙救急担当理事)
2. 秋田組合総合病院(坂本哲也病院長、鈴木一郎救急部長)
3. 秋田市消防本部(佐藤賢治警防課参事、工藤春一警防課課長補佐)
4. 秋田赤十字病院(宮下正弘病院長、藤田康雄救命救急センター長)
5. 秋田県総合防災課(大山毅秋田県総務部総合防災課消防班主幹、村上隆志秋田県総務部総合防災課副主幹、高橋邦武秋田県健康福祉部医務薬事課副主幹)
6. 秋田大学医学部附属病院(田中博之救急医学助教授)
7. 秋田県立脳血管研究センター(波出石 弘 脳神経外科主任研究員)
8. 市立秋田総合病院(鈴木行三病院長、円山啓司中央診療部救急集中治療室長・元秋田大学医学部救急部助教授)
9. 秋田県成人病医療センター(門脇 謙 副センター長)
10. 医療法人明和会 中通病院(佐藤正光麻酔科科長)
11. 金沢大学大学院医学系研究科・医学部附属病院(稲葉英夫救急部教授、前秋田大学医学部救急医学教授)

調査結果 このページの上へ
1.秋田市の救急救命士による気管挿管の背景
 秋田市では、救急救命士法制定以前の救急隊員教育は交通災害センターのある日赤病院で行われていたが、救急救命士制度の導入とともに秋田市の要請を受けて救急救命士の病院実習は秋田大学医学部附属病院を中心に行われるようになった。当時救急医学講座は設置されておらず、麻酔科が救急救命士教育の窓口となっていた。病院実習では手術室における気管挿管の実習が行われていたが、秋田市消防本部と大学病院側とで書面による合意はなく、救急救命士に対する気管挿管の訓練を積極的に推進した、麻酔科から移籍した当時の救急部助教授の要請で個々の麻酔医の判断で実習が行われた。コンビチューブ(注:救急救命士に使用が許されている気道確保のためのチューブ)の挿入訓練が手術室で行えないこと、異物除去に喉頭展開の訓練が必要なこと、将来は救急救命士の気管挿管が行われるようになるだろうとの認識が当時の麻酔科医師の多くにあったようである。秋田大学医学部附属病院手術室での気管挿管の実習は、元助教授が退職した平成9年以降は急速に減少し、代わって同医師が移籍した市立秋田総合病院で行われるようになった。

 平成8年に秋田市(消防本部)の委嘱により秋田市救急業務高度化懇談会が発足し、従来から救急救命士教育に関係してきた大学、日赤に加えて県立の成人病医療センターと脳血管研究センターが参加した。この会は、高規格救急車の運用のための会として発足したものであるが、実際にはこの会の発足以前から救急救命士による気管挿管が恒常的に行われていた。救急現場における救急救命士の気管挿管がどのような経緯で始まったのかは明らかでないが、恒常的に行われるようになった背景には、消防本部の一部救急救命士と気管挿管の訓練を積極的に推進した医師の協働があったものと考えられる。

 平成9年には、市立秋田総合病院、秋田組合総合病院、中通病院の3病院が協力病院として市の委嘱を受け、救急業務高度化懇談会参画の4施設と合わせて新たに秋田市消防業務指導医師会(以下指導医師会)が発足した。この会議は年1回開催され、7病院の代表者と秋田市消防本部の関係者が参加して前年度の救急搬送実績の統計、救急隊員の訓練、救急救命士の就業資格などについて議論されたという。発足当初の会議で、複数の医師から「救急救命士による気管挿管は問題ではないか」との意見が出されたが、取り上げられなかったという。また、平成7年に新設された救急医学講座に赴任した前教授も、市消防本部の幹部の出席した会議の席で「救急救命士の気管挿管は違法であり、このまま続けるのは好ましくない。」と発言したが、消防側からの反応はなかったという。すなわち、救急救命士が気管挿管を行っていた事実を秋田市消防本部は十分認識していたことになる。しかし、その後は気管挿管の話題は指導医師会では避けられていたようであり、議論されないまま救急救命士の気管挿管は続けられたという。指導医会で中心的な存在であった大学病院の前教授は、その後違法な気管挿管を容認し、積極的に阻止する動きはとらなかったことになる。尚、指導医師会参画施設に対し平成14年度には市からの委嘱がなく、指導医師会は自然解散となっている。

 秋田市における救急救命士の就業前病院実習は、指導医師会発足前は7週間で、そのうち大学病院での4週間で30例を目標に気管挿管の実習が行われた。指導医師会の発足後は指導医師会参画7病院を回ることとされ、合計で10〜12週間の間に50例の気管挿管を行うことが目標とされていた。気管挿管の実習は麻酔科医の指導により手術患者で行われ、救急部での実習は行われていない。尚、気管挿管の実習に当たって患者のインフォームドコンセントは得られていない。また、麻酔科医師の判断で気管挿管の実習を行わない病院もあった。病院実習の他、秋田市消防本部の要請で指導医師が救急車に同乗し、就業前の救急救命士に対する救急車同乗実習や評価を行っていた。ここでは気管挿管を行う機会は少ないため、傷病者への接遇、観察、体位管理など患者搬送時の医学的処置一般の実技が評価され、不合格者は救急救命士としての就業が許されなかった。すなわち秋田市では、救急救命士の国家資格を得たあと、救急救命士として就業のための資格実技試験が行われていたことになる。このため、不合格者は非番の日に追加の実習・評価を受けていた。最初の3〜4年間は、元救急部助教授が一人で救急車同乗実習・評価を行っていたが、これでは余りに個人に偏りすぎるので、以後は何人かの指導医が交代で同乗実習を指導した。しかし、評価に当たっては明確な基準はなく、指導医師の個人的な判断に任されていた。

 秋田市では年間約200例のCPA(注:cardiopulmonary arrest の略で、心肺停止を意味する)患者が搬送され、そのうち70〜80%の例で気管挿管が行われていた。搬送先病院の指示医は「気管挿管」との指示は出さないものの、「気道確保」と指示すれば「気管挿管」を含むとする暗黙の了解ができていた。実際の気道確保の方法は、救急救命士の判断に任されていた。CPA患者を受け入れる救急病院の医師のなかには救急救命士による気管挿管が違法であるとの認識のない医師も多く、違法であると認識していた医師のなかには、近々に救急救命士の気管挿管が認められるようになるのに備えて秋田市でパイロットスタディを行っているのだという認識を持った人もいた。搬送事例の検証の会は、指導医師会が中心となって2週間に1回程度行われていたが、これは組織だったものではなく、ボランティアの医師と非番の救急救命士が集まって気管挿管を含む救急処置の適応や方法などについて適宜話し合っていたものである。

 秋田市では、心肺蘇生に関する市民啓発運動に力を入れており、年間700万円の予算を組んで活動を支援してきた。その結果、CPA患者に対するby-stander CPR(注:偶然そばに居合わせた一般の人が行う心肺蘇生法)の実施率は50%にもなるとされ、多くの関係者がその有効性を認めている。また、救急救命士を含む救急隊員の教育にも力を入れており、救急隊員研修会をこれまで92回実施している。このように秋田市消防本部の蘇生率向上に向けた努力は評価されるものの、メディカルコントロール体制の観点から好ましくない事実も現場の医師から指摘された。例えば、病院への搬送記録に気管挿管などの処置事実が記載されていないこと、消防機関への報告と病院への搬送記録の内容が異なること、総務省消防庁への実績報告と市民への報告内容が異なったままあいまいにされてきたこと、などである。

 秋田県の行政担当部局が救急救命士による気管挿管の事実を承知していたか否かは明らかでないが、今回のヒアリングでは行政の当事者として本件の重大さを理解しているようには思われなかった。今後、秋田県救急災害医療検討委員会を設置し、下部組織の部会でメディカルコントロール体制について検討する予定であるという。一方秋田市では、秋田市消防救急メディカルコントロール体制構築準備委員会をすでに立ち上げている。この組織には、市内中核7病院、市保健所、市医師会、県看護協会、市社会福祉協議会、市民代表などが参画している。これを基に将来秋田市救急医療協議会を設置し、専門部会を設けてメディカルコントロール体制の検討を行うこととしている。

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2.合同ヒアリングから浮かび上がった問題点とその対応
 秋田市の救急救命士教育は病院実習、救急車同乗実習、研修会などを基に充実しており、今後のメディカルコントロール体制構築に参考となる点が多い。また、指導医師の献身的な努力と救急救命士の熱意により、秋田市における救急救命士の質が非常に高いことが調査に協力してくれた医師の話しから明らかである。そのことは認めつつも、いくつかの大きな問題点が浮かび上がってきた。

(1)違法行為に対する責任の明確化

 今回のヒアリングで全ての関係者が一致して認めたことは、秋田市において救急救命士による気管挿管が恒常的に行われてきたこと、ならびにこの事実が違法であるとの認識であった。救急救命士による気管挿管がどのようにして恒常的に行われるようになったかについては必ずしも明らかではないが、秋田市消防本部は指導医師会の当事者として救急救命士による違法な気管挿管の事実を認識していたはずであり、さらにはこの件に深く関与してきた医師も明らかである。とくに、秋田市で大きな力をもつのは大学病院であり、違法な気管挿管を積極的に指導してきた元救急部助教授、違法行為を容認してきた前救急医学教授の責任は重大である。また、違法行為を認識しつつ追従した救急救命士ならびに彼らの行動を黙認した消防本部の責任も大きい。それにもかかわらず関係者に対する処罰はもとより、関係者から何らの反省も公表されていない。この問題にけじめをつけないまま秋田市のメディカルコントロール体制が旧来のメンバーで新しく組織されていくことに強い危惧を感ぜざるを得ない。秋田市はもとより、今後わが国のメディカルコントロール体制は、この事件の反省と教訓を踏まえて構築されるべきである。指導医師会の中で救急救命士の違法な気管挿管に深く関わった医師は、不適切な指導をしてきた事実を公表し反省するべきである。また、手術室において患者からのインフォームドコンセントを取得せずに救急救命士に気管挿管の訓練を提供した麻酔科医師も倫理的な責任を負うべきである。

(2)メディカルコントロール体制の監視機能

 今回の秋田市における違法な気管挿管は、秋田市の公的組織である指導医師会が本来あるべき公正な機能を発揮せず、一部の指導医師や救急救命士のリーダーの思うままになっていたことによる。また、行政、消防機関、医師会、病院の関係者等が違法行為を傍観し、監視機能が働かなかった。情熱を持ったリーダーの目的が正しくとも、暴走すれば誤った方向に走りすぎることがあるのは当然のことである。メディカルコントロール体制には歯止めとなる監視機構の存在が大切であり、適正な検証システムを構築することが不可欠である。

(3)救急医療に関わる医学教育の再検討

 秋田市の救急救命士教育に関わった医師のなかに、救急救命士の業務内容、すなわち気管挿管が許されていないことを知らなかった医師が少なからずいた事実は注目すべきである。全国的にみると、同じように誤った認識を持っている医師はかなりの数になると推測される。医師の生涯教育の中で正しい知識を伝えて行く方策を再検討すべきであり、医学会(医師の学術団体)や医師会の責任は大きい。
 最近秋田市内では、自分は気管挿管できないので救急救命士が気管挿管してこないのなら当直をしたくないという医師が増えているという。この事実は、これまでの救急医療に関わる医学教育の不備を露呈したものであり、文部科学省、厚生労働省、医学会などの不作為の結果である。とくに病院前救護体制に医師がどのように関わるかは、行政や学会がこれまで放置してきた課題であり、その方向性を提示することが急務である。また、全科で当直を行っている病院は少なく、当直医が応援医師の来るまでの間救急処置を行わざるを得ない現状では、二次救急施設で救急患者を診る機会のある医師に対してACLS(注:advanced cardiovascular life support の略で、主として医師が行う心肺蘇生法) や病院前救護に関わる教育を十分行うことが必要である。

(4)データの適正な管理と公開

 秋田市における心肺停止患者の社会復帰率が全国平均と比べて異常に高いことが知られており、一部にデータの捏造の疑惑もささやかれていた。しかし、秋田市消防本部によると捏造の事実はなく、総務省には指示に従ったデータを提出していること、市民の心肺蘇生法の啓発運動を支援するため by-stander CPR により救急隊が到着した時には心肺停止でなかった症例を加えた別のデータを市民向けに発表していたこと、学会発表などで市民啓発用のデータが発表され一人歩きしていたこと、などが明らかとなった。しかしながら、関係者に誤ったデータが知らされていた事実には変わりなく、今後はデータの公正な取り扱いが求められる。

(5)行政指導体制の二重構造

 救急救命士教育に惜しみない協力をした医師、病院前救護の向上に必死で努力した救急救命士が共通して抱いていた認識は、「気管挿管はまもなく許可される。そのための準備をしよう。」であった。このような誤った認識がなぜ生じたかは明らかでない。しかし、新聞などの報道で見る限り、秋田市の救急救命士による気管挿管についての見解が厚生労働省と総務省消防庁で相当に異なっており、このような病院前救護に関わる行政指導体制の二重構造が現場の混乱を招いた可能性は十分に考えられる。今回の調査でも、県の担当部局が問題点をよく把握しておらず、消防機関の関係者や現場医師との間に大きな温度差のあることが印象的であった。将来的には、病院前救護を含めた救急医療に対する行政指導体制を一本化することが望まれる。


4学会が今後検討すべき課題 このページの上へ
(1)救急救命士による気管挿管事例の検証

 秋田市における救急救命士の気管挿管については、これまでにも検証が行われているが、「救急救命士による適切な気道確保に関する研究」班報告でも現場の気管挿管が救命率を向上させたか否かは不明である。本件は違法であるとは言え、将来のメディカルコントロール体制構築にとって貴重な経験であったことには違いなく、可能な限り公正な検証が行われることが望まれる。検証に当たっては、 CPA患者の社会復帰率のみならず気管挿管の適応の判断、食道挿管など合併症についても調査する必要があり、そのためには搬送記録と病歴との詳細な突合せが不可欠と考えられる。今回のヒアリングで、現場の医療関係者も事例の検証を望んでおり、患者のプライバシーを侵さない範囲で病歴の開示などに全面的に協力していただけるとの約束を得た。一方、秋田市消防本部においても、学会が医学的立場で行う調査には、総務省消防庁を通じて公式に依頼があれば全面的に協力していただけるとの確約を得た。早急に調査団を組織して作業を開始する必要がある。その際、救急救命士による気管挿管が行われなかった地域の調査との比較が行われることが望ましい。

(2)発表論文の再評価

 今回のヒアリングで、CPA患者の社会復帰率についての秋田市のデータには、総務省へ報告したものと市民向けのものと2通りのデータがあることが明らかとなった。また、秋田市の蘇生率に関する医学的な発表は、救急救命士による気管挿管が行われた事実を隠蔽したうえでのものであることも明らかである。これまでこの件に関して発表された論文、例えば、Tohoku J Exp Med 2001, 194:107-119, を医学的に検討し、正しいデータに基づいて解析されているかを調査する必要がある。

(3)侵襲的処置に関わる病院実習の方法についての検討

 秋田市における救急救命士の気管挿管の実習は、救急外来ではなく手術室で行われていた。その際、インフォームドコンセントは得られていなかったが、今後このようなことは絶対に許されないのは言うまでもない。救急救命士による気管挿管の問題は今後どう進展するのか不明であるが、気管挿管に関わる専門医師集団として、救急救命士による気管挿管の実習の可能性、可能な場合の要件などについて法整備も視野にいれて議論し、侵襲的処置に関わる病院実習の指導で現場の医師が混乱しないよう準備しておく必要がある。

(4)医師に対する救急蘇生法教育

 これまで医師に対する救急蘇生法教育が十分であったとは言いがたく、「気管挿管に自信がないから当直をしたくない」とする現場の生の声は重く受け止めなければいけない。平成16年度から厚生労働省主導の「初期臨床研修」が稼動することになり、救急部門での蘇生法教育は必須の研修項目となっている。しかし、これだけでは気管挿管の修練には不十分であり、手術室での研修も必要となろう。また、現場で業務についている医師の中に蘇生法に自信のない人が多いのは問題である。学会として蘇生法再教育の具体的方策を検討する必要がある。

(5)病院前救護における安全、迅速な気道確保の検討

 気管挿管が気道確保の最高の方法であるとの認識が一般市民の間でも広がっており、秋田市においてもCPAの80%に気管挿管が行われていた。しかし、安全性、迅速性の面から、気管挿管がすべての症例に最も望ましい気道確保の方法であるわけではない。病院前救護における気道確保の方法について科学的な根拠に基づく活動基準が必要である。とくに気管挿管については、医師が行うことを前提に患者の状態や搬送時間などを考慮した適応基準を提案するのが望ましい。

(6)病院前救護における記録法の再検討

 今回の救急救命士による気管挿管の背景には、地域におけるCPAの社会復帰率の優劣への思いが影響していると考えられる。しかし、CPAの死亡率や社会復帰率を正しく評価するためには、現在消防機関で行われている記録法の一部に不備が見られる。例えば、現場到着時間は、救急車が止まった時間ではなく、「傷病者の横に着いた時間」あるいは「救急隊員による蘇生が開始された時間」等でなければ正確な統計にはならない。また、一部で行われている「ウツタイン形式」の全国的な採用も検討する必要があり、学会が消防機関と協力して病院前救護に関わる記録法の改善に努めることが望ましい。

(7)心肺蘇生法の啓発運動の全国的展開

 秋田市におけるby-stander CPR の施行率が50%にもなるなど、一般市民に対する啓発運動が盛んに行われていたことは注目に値する。この運動を全国的に広げていくことは、国民のために有意義なことと思われる。関係学会として心肺蘇生法の啓発運動の全国展開に協力すべきである。


<調査年月日>

第1回:平成14年5月6−7日
第2回:平成14年6月16−17日
第3回:平成14年6月23日

<合同調査参画学会ならびに調査担当者名簿>

日本救急医学会 小林国男(帝京大学医学部救命救急センター教授)
同 山中郁男(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院長)
(社)日本麻酔科学会  大橋 勉(国立病院東京災害医療センター麻酔科医長)
日本臨床救急医学会 野口 宏(愛知医科大学高度救命救急センター教授)
日本蘇生学会  丸川征四郎(兵庫医科大学救急・災害医学教授)

<付記>

 この調査は、秋田市の救急救命士による気管挿管に何らかの関わりを持ったと思われる行政、消防機関、医療機関の担当者に直接会ってヒアリングした結果をまとめたものである。 調査の性格上、調査内容には限界があることを付記するとともに、調査にご協力いただいた関係者に謝意を表したい。

 
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