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第3回 ER後期研修プログラム検討小委員会

日時:平成18年8月22日,23日
場所:日本救急医学会事務所
参加者: (敬称略、順不同)
ER検討特別委員会委員:
瀧野昌也(小委員会委員長)、堀 進悟、箕輪良行、木村昭夫
ER後期研修プログラム検討小委員会委員
山下雅知、林 寛之、太田 凡、本多英喜、芳賀佳之、岩田充永、中村雅彦、山畑佳篤
文責:瀧野

前回議事録の確認

特に意見はなかった。

プログラムの枠組みについて

  1. モデルプログラムを4年とした場合の枠組みの試案およびローテーションのシミュレーション結果から、救急医学会専門医申請の要件を満たすには、重症治療専門の救急施設での研修およびER専従期間の合計は少なくとも34ヶ月が必要で、その結果他科ローテーションは14ヶ月以内となることが示された。
  2. 指導体制と勤務体制については、ER専従の常勤医師(以下ER医)の常駐を要件に挙げる意見もあったが、現在ER診療を行っている施設の現状などから、ER医が最低1名いることをプログラム参加への条件とした。
  3. 年次ごとの目標案については、特に異論はでなかったが、各年次の目標はあくまで最低線であり、能力によって先取りすることは可能とした。
    「監視下の診療」の意味については、後期研修医はER医と共に勤務し、診療内容について全例報告し、dispositionの決定前に指導を受けることとした。現時点で卒後3年目の実力にかなりのバラツキがあることから、後期研修開始の段階では常に監視下に診療を行い、その期間については個々の研修者の実力に応じて判断することとした。また、ER医の人数に応じて、受け入れられる後期研修医の人数が規定されることが確認された。
  4. Off-the-jobトレーニングは積極的に取り入れることとした。年次ごとの目標は定めないが、4年間のうちにJATECのプロバイダ取得、ALSのプロバイダ取得、ICLSのインストラクタ取得は必須とし、PALS、JPTECその他のコース受講を努力目標とすることとした。ICLSのプロバイダ資格をプログラム参加の要件とすべきとの意見もあった。

ERでの教育について

  1. ER医が365日24時間ERに勤務していることが望ましいが、現状では多くの施設で期待できないことが確認された。しかし、後期研修医の勤務中にはER 医のER常駐が必須と考えられることから、毎年採用する新規の後期研修医人数はER医の人数を超えない、という原則が合意された。この「ER医」には、後期研修プログラムに参加中の上級医師も含むものとした。
  2. 年次目標案にある、監視下、指導下、独立した診療については、年次目標を考慮するが、一律に時期を定めず、指導医の合議のもと研修プログラム責任者が判断するものとした。科学的な評価基準は存在しないが、総括的評価自体の是非も含め、将来的に検討するものとした。
  3. 定期的なカンファランスは重視されるべきであり、mortality and morbidity(死亡例および問題例)のカンファランスは必須とした。ジャーナルクラブ、他部署とのカンファランス、ラウンドカンファランス等も可能な限り行う。他部署ローテ?ション中の者も参加できる時間設定が望ましいとの意見も出された。カンファランスにかけるべき時間数は規定しないこととした。
  4. 教育の義務に関して、ERの診療現場における後進の教育は、1,2年次は能力に応じて行い、3年次以降は義務として行う。また3年次はカンファランスを組織し、教育訓練コースにスタッフとして参加すること、4年次は教育訓練コースを準備・運営することとする。コメディカルや一般市民への教育にも積極的に参加することが望ましい。
  5. その他の教育項目についても多岐にわたって議論された。学術活動について、後期研修期間内に3つ以上の学会発表に加えて、救急医学に関連する論文の作成を 1編以上という目標が合意を得た。その他、診療以外の一般目標として、プロフェッショナリズム、コミュニケーション能力などを2003 Model of the Clinical Practice of Emergency Medicineに準じてプログラムに盛り込むこととなった。
    ER診療を勉強する際に準拠する教科書として、Tintinalli編のEmergency Medicineと、Hamiltonの症候学を勧める意見が出された。

ローテートする科と方法について

  1. ER研修期間中はER(外来部門)に専従すること、重症治療専門の救急施設としては従来の救命救急センターや集中治療部を指すことが確認された。
  2. 第1回会議で合意された、一般内科を6か月間ローテーションする件について、再度議論された。その結果、本来の意味での一般内科を有する病院は限られており、当初の意図であった、1つの部門に腰を落ち着け、広範な内科的重要疾患について病棟管理や定期外来も含めた研修を行うことが困難と考えられる施設も多いという現状が認識された。
  3. 研修すべき部署に関しては、以下の方針で合意に達した。
    • 内科は合わせて6か月間ローテーションすること。
    • 内科ローテーション期間中に循環器領域の研修を受ける期間を必ず設けること。
  4. 内科以外では、科ごとのローテーション期間は指定せず、各プログラム責任者の裁量とした。必ず研修を行うべき部署は、上記の循環器科以外に、神経領域(神経内科または脳神経外科または脳卒中ユニットのうち救急症例の多いもの)、消化器領域(消化器内科または消化器外科のうち救急症例の多いもの)、小児科、麻酔科、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻科、集中治療、外傷治療(重症救急患者治療と同一でも可)とした。

    ローテーションの形態は、以下のように合意された
    通常のフルローテーション: 内科(循環器科を含む)、神経領域、消化器領域、麻酔科、産婦人科、集中治療、外傷
    外来に力点を置いた
    フルローテーション:
    整形外科、小児科
    ER研修中に定期的に
    他部署に出向いて研修する:
    眼科、耳鼻咽喉科、画像診断、超音波検査等

    なお、精神科に関しては充分ディスカッションしたが、経験目標の設定が困難であり、現実にプログラムとして成立するか否か疑問との意見があった。このためプログラムには含めないが、可能であれば経験が望ましいとした。

  5. 自施設で十分な研修が不可能と考えられるときには、他施設で研修できるようにプログラム責任者が調整し、複数施設での研修を積極的に勧めるものとした。他施設で研修する時の給与の問題については、複数科を含めた1年間の受け入れであれば対処しやすい、マンパワーの不足している診療科では積極的な受け入れを期待できる等の意見が出された。

到達目標の設定

  1. 到達目標における数値設定の是非について議論された。評価対象となる(最低限達成すべき)数字でなく、また入院か外来かは問わず、経験数の目安となる数字の提示が適当との意見が大勢を占めた。また、後期研修の全期間で8000人以上の患者をERで自ら診療すべきとの意見が出された。
  2. 以上の議論をふまえ、小グループに分かれて、各科領域で経験すべき疾患または病態、習得すべき手技または技能、および必要な知識について、細目とその症例数を具体的に検討した。その後全員で討論して一応の完成をみた。検討結果は別に記す。
  3. メディカルコントロール、災害医療に関しては、研修体制が十分でないため、一般目標を挙げるにとどめることとした。症候、検査に関する到達目標については、今回は時間がなく、持ち越した。

評価について

評価は重視すること、年間2回以上の評価を行って年次目標の達成に努めること、他部署ローテーション中にはその部署の指導者に評価を依頼すること、などが論じられた。本プログラムは現行の専門医資格と別の資格を作ることを意図しないので、総括的評価(合否を決める評価)を行うことは現実的でない。また本プログラム固有の経験症例の数値の達成は評価項目に加えない。わが国で確立された教育プログラムの評価基準は未だ存在しない。評価方法としては、客観的筆記試験、OSCE、評価シートによる評価などの案が出された。また、少人数対象であれば指導医の合議で評価できるので、現時点ではすでに他所で実績のある評価法の例を示すにとどめてはどうかという意見も示された。 

次回会議について

次回会議でモデルプログラムを完成させる方針が示された。次回会議の日程調整をメールで行うこととした。

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